ナラ枯対策をもっと簡単にできないか
公開日:2021年10月04日 最終更新日:2022年07月14日
詳細
現状のナラ枯予防対策は主に1)薬剤注入
2)粘着シート巻 3)粘着剤噴霧ですが、何れも業者に依頼しなければ対策工事は難しく、多くの対策費用がかかるので民有林の場合には適していないと言う意見があります。
そこで、もっと簡単に噴霧だけで対策が出来ないか検討確認してみた。
① スミチオン乳剤
一般的に広く使われているため、販売ルートが多く、手に入りやすい。
しかし、樹被への浸透性が少なく、カシナガキクイムシ駆除効果は少なかった。
② スミパイン乳剤
松枯れ対策として開発されたスミパインは松くい虫防除で実績がありカミキリムシ、キクイムシの防除にも効果が認められている。
スミパインは「生立ち木」「伐倒木」にも使われ、樹皮下、材内生育している虫類駆除も適用範囲とされている。
ナラ枯キクイムシ防除にも効果があると記されている。
スミパイン乳剤を用いてカシナガ駆除テストを実施した。
左写真はコナラで噴霧前(2021年9月8日)はフラスが多数出ていたが、スミパインを噴霧後次の写真の通りフラス排出が無くなった(2021年9月30日)。
このようにスミパインはカシナガキクイムシ駆除に効果あると確認された。
別の樹木(シラカシ)ではスミパイン噴霧後カシナガの成虫と幼虫が 穿孔 孔から次から次と飛び出しフラスの上で死んで行くのが確認された(9月27日)。
|
フラスが大量に確認された(9月8日)個所でも9月30日確認では新規フラスは見られなくなった。
スミパインの効果が認められた。
これは、メーカーのパンフレット通り、スミパインが樹皮内部迄浸み込みカシナガが駆除された為と思われる。 |
スミパイン噴霧前は樹各部にこのようなフラスが確認できた。 |
スミパイン噴霧後フラスが完全に無くなった。 |
スミパイン噴霧前は樹各部にフラスが確認された。 |
スミパイン噴霧後22日経過したがフラスは出てこない。
カシナガキクイムシは完全に駆除されたと思われる。
スミパインはカシナガキクイムシの予防対策に優れていることが確認された。 |
スミパインはカシナガ駆除に手軽に使えることから、民営林の樹幹散布ナラ枯対策として適していることが立証された。
希釈倍数:50倍
樹皮表面積1㎡当り:300~600ミリ㍑/㎡;使用
使用時期:成虫の発生初期又は直前
使用回数:6回以内
スミパインは農林水産省登録 第 15043 号です。
登録内容
殺虫剤
MEP乳剤
https://www.sankei-chem.com/products/ryokuka/products/productfile/s3-4.pdf
|