果樹を枯らす負の連鎖
公開日:2026年03月30日 最終更新日:2026年04月13日
果樹を枯らす負の連鎖
コスカシバ・キノコ腐朽菌・クビアカツヤカミキリは、果樹への被害を連鎖的に拡大させ、この三者が組み合わさることで、木は内部と外部から破壊され樹勢が急激に落ち、果樹の品質低下から枯死に至る。桃のクビアカツヤカミキリ被害が多い原因は、この三者による負の連鎖が関連している。
クビアカは「桜並木と桃畑」がある場合、のちらに向かうか?。と言う問いに対して、「桃」と答える方が大多数であるが、「果樹」は上記三者の負の連鎖があるからであって、三者の負の連鎖を防げば、「桜」被害と変わり無く、被害を低減できることが分かった。
また、負の連鎖を防ぐには、剪定後に切り口へ塗る、保護殺菌薬剤「癒合剤」の塗布みでは不充分であり、コスカシバの被害部が広範囲になり粗皮状に至った場合、癒合剤は塗れないためにキノコ腐朽菌侵入を防ぐことはできない。負の連鎖を止めるには、被害初期においてコスカシバの駆除が必要となる。

写真1 コスカシバ (蛾の仲間) 写真2 コフキタケ(木材腐朽菌) 写真3 クビアカツヤカミキリ
- 被害のメカニズム連鎖と被害
第1段階:コスカシバの侵入(食害と傷口)
- 幼虫が幹の樹皮下(形成層)を食害し、幹を広範囲に傷つけます(写真-1)。
- 傷口から樹液が流出し、キノコ腐朽菌が侵入し易くなります(写真-2)。
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写真ー1 写真-2
第2段階:キノコ胞子の幹内侵入と繁殖による木質部の腐朽
①コスカシバが作った傷口や、粗皮部及び、木が衰弱した部分からキノコ腐朽菌が侵入し、木部を分解して腐らせます。(写真下:ココアをまぶしたような茶色の粉が降り積もっているのはコフキタケから放出された大量の胞子)
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上記写真:腐朽菌が侵入し幹崩壊 上記写真:コスカシバ.腐朽菌.クビアカ等三者から被
害を受け崩壊
第3段階:クビアカツヤカミキリの更なる被害(致命傷)
① 腐朽して柔らかくなった木や、衰弱した木はクビアカツヤカミキリにとって産卵・穿孔し易い環境にある。
② 幼虫は幹の木部(心材・辺材)を食い荒らし空洞化にします。
③ 最終的に幹又は枝は栄養や水分を運ぶ能力を失い、数年で枯死します。
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上記写真:心材・辺材とも腐朽菌でスポンジ状になっている。 そこに侵入したクビアカが排出するフラス(右写真)
- 特徴的な症状
① フラス(糞と木屑が混ざったもの)の排出: クビアカツヤカミキリの幼虫が排出したフラスが幹の根元や裂け目に大量に堆積します。
② 樹液とキノコ: コスカシバ由来の樹液流出に加え、腐朽菌によりキノコが生えます。
③ 樹皮の剥離: 形成層が食い荒らされた結果、樹皮が簡単に剥がれる祖皮状になります。
コスカシバ+キノコ+クビアカツヤカミキリ=三者による負の連鎖が甚大となる(下記写真)。
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3.果樹を枯らす負の連鎖の流れ
桃や梅は桜よりクビアカ被害が大きいといわれるがその原因は、コスカシバの被害写真1.により、木の肌が荒れ写真2.3.4.キノコ腐朽菌に感染することで写真5心材・辺材が腐朽し、クビアカツヤカミキリ産卵条件が整うことにより写真6.クビアカツヤカミキ被害が増えるものと言える。



4.コスカシバがクビアカツヤカミキリ被害を助長している
・コスカシバの痕跡:写真1.の桧皮から樹液が出ている穿孔初期状態。
・菌の侵入:写真5.のコスカシバの食害が粗皮状とり広がると腐朽菌が侵入する。
・クビアカの標的:写真6.すでに腐朽が進んだ部位や、樹勢が衰えた場所にクビアカのフラスが排出される。
このように、三者の相互作用によるものであることからコスカシバの被害を減少させることにより、クビアカツヤカミキ被害も少なくなる。
5.「負の連鎖」を断ち切る介入ポイント
負の連鎖を断ち切るには、駆除効果に実績がある下記の「クビアカの生態を利用した幹内幼虫駆除」方法作業手順を用いて駆除を行うことが最も有効である。
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6.クビアカの生態を利用した幹内幼虫駆除対策
クビアカツヤカミキリの幼虫は、幹内のフラス排出孔(穴)から頭を使って頻繁に木屑(フラス)を外へ押し出す習性がある。この行動を利用し、排出孔にウエス(布)を詰めてフラス排出孔にエアゾール(環境省指定スプレー式カミキリ用殺虫剤)を噴霧し、木栓で密封することで、幼虫が木栓を噛み切ろうとしてフラス孔内のウエスに噴霧した薬剤に触れ、効率的に駆除できる。
駆除作業後に幹内で死んでいるクビアカ幼虫を確認した![]()
「クビアカの生態を利用した幹内幼虫駆除」対策8時間後に幹内で幼虫が死んでいることを確認した(上記写真)
7.相乗効果の定量的評価
① 三者(コスバシカ、キノコ腐朽菌、クビアカ)による負の相乗効果が発生した場合
約2年目で部分的枯死による果樹品質に影響が出始めて約3年では枯死に至る(下記写真)。

上記写真
コスバシカ・キノコ腐朽菌・クビアカ被害を放置した場合の枯死木状況
② 対策によりコスカシバによる被害部が粗皮状に拡大しない場合
クビアカの生態を利用した幹内幼虫駆除」方法を用いて早期対策駆除を行うことにより、キノコ腐朽菌による感染を防止しできると同時に、クビアカも駆除できるため「潜在最大寿命」を確保できる。
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コスカシバ駆除写真(クビアカも同様駆除できる)
③ 「負の連鎖」を断ち切る方策
質問:どの段階で食い止めるのが最もコスト対効果が高いのか。
答1:三者とも早期発見、早期駆除であるが、キノコ腐朽菌防除は幹・枝を傷つけないこと。 剪定等の作業時、太さ20mm以上の枝等を切断した場合は癒合剤を塗ることを奨励する。
答2:負の連鎖の原因三者を断ち切るには、市町村同業者全てが同じ目的をもって、周知徹底を図ることが特に重要となる(虫も菌も境がない)。
答3:幼虫の掘り取り駆除は幹に広範囲ダメージを与え、そこからキノコ腐朽菌が侵入し、かえって被害を助長するので実施しないことを奨励する。
クビアカの幼虫掘り取り コスカシバの幼虫掘り取り
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※クビアカの生態を利用した幹内の幼虫駆除について
詳細については下記URLをご確認ください。
https://zamat.genki365.net/G0000477/activity/17385.html
以上
コスカシバがクビアカツヤカミキリ被害を助長している
桃や梅は桜よりクビアカ被害が大きいといわれるがその原因は、コスカシバの被害により、木の肌が荒れ、キノコ腐朽菌に感染することで心材・辺材が腐朽し、クビアカツヤカミキリ産卵条件が整うことにより、クビアカツヤカミキ被害が増えるものと言える。
このように、三者の相互作用によるものであることからコスカシバの被害を減少させることにより、クビアカツヤカミキ被害も減少することになる。
4. コスカシバ・子実体・クビアカ駆除
一 コスカシバは「コスカシバ生態を利用した幹内幼虫駆除」を実施することにより、容易に駆除できる。
二 キノコ腐朽菌はコフキタケ、ベッコウタケ等の子実体を駆除し、胞子の飛散防止をはかる。
三 クビアカは「クビアカの生態を利用した幹内幼虫駆除」対策を行う。
※ コスカシバ・クビアカは夜行性であり、光に向かって集まる性質「正の走光性」がある。これを利用して、ブラックライトやソーラーランプを使って成虫をおびき寄せて粘着トラップ、クビアカ用ペットボトルトラップで駆除する方法がある。
※ 2026年は、上記三項目を実施することにより、三者の連鎖を断ち切り被害を撲滅する。
以上