クビアカツヤカミキリ被害対策「桃」でも成功
公開日:2025年06月09日 最終更新日:2025年06月12日
クビアカの生態を利用した樹内幼虫駆除「桃」でも成功
座間安全・安心推進会では、クビアカツヤカミキリ駆除用エアーゾール剤を、予めフラス排出孔に挿入したウエス中央に噴霧し、木栓で固定することで、樹内に潜むクビアカツヤカミキリの幼虫を駆除する方策を考案し、令和6年に110本の桜樹内に潜む幼虫を駆除できたことを確認致しました。
この実績を生かして、果樹農家の被害拡大を防止出来ないか。
クビアカツヤカミキリ被害の現状
群馬県におけるクビアカツヤカミキリによる桃の被害、伐採本数は令和6年度に1万508本で、前年度比1.37倍と急拡大しています。
又、徳島県板野町では、桃園地を中心に深刻な被害が報告され、和歌山県では、桃や梅の生産量が全国トップクラスであるため、クビアカツヤカミキリの被害が拡大すれば、農業や観光に深刻な影響を及ぼすとして戦々恐々としていますが、クビアカツヤカミキリの被害に対する明確な「これと言った」解決策、つまり、確実に被害を抑える方法がないために、急拡大の一途を辿っている。
桃の県別生産量ベスト5は、1位山梨県、2位福島県、3位長野県、4位山形県、5位和歌山県です。これらの5県で、全国の桃の8割以上を生産していますが、何れも近隣県にクビアカツヤカミキリが迫ってきています。
このままでは、日本の桃産地は壊滅状態になることが予想されると同時に、国産桃が食べられない事態になることが懸念される。
桃の木に潜入したクビアカ幼虫の駆除
樹内に潜むクビアカ幼虫駆除は非常に簡単で、クビアカの生態・行動パターンを利用して駆除する方法で、幼虫が樹内を食害して出るフラス排出孔にウエスを詰め込み、そのウエス中央に桃指定の薬剤を5~10回断続的に噴霧して木栓で固定します。
幼虫はいつも通りフラスを排出する為に、頻繁に排出口に現れますが、排出口が塞がれているのでフラスを排出できません。
そこで、幼虫はウエスと木栓を喰いちぎりフラス排出口を元通りに復元しようとしますが、この時にウエスと木栓に浸透した薬剤を食べて死んでしまいます。
この行動パターンは、ナラ枯れをおこすカシノナガキクイムシも同様で、カシノナガキクイムシの行動パターンをクビアカに当てはめ実験したところ、全く同じ行動パターンを示して駆除された。
幼虫が喰いちぎったウエス⇒
← 幼虫に食われた木栓
桃ノ木被害状況
フラス等から推察すると、幹心材に潜む終齢幼虫のフラスと思われ、被害木は樹勢も衰え始めた深刻な状態である。
クビアカの幼虫フラス排出孔が多い個所
ウエスと木栓による対策によりフラス排出が止まった
クビアカツヤカミキリ被害と感染状況
総点検木数154本・感染木数13本・感染率8.5%
感染は老木だけでなく、根本幹回り15Cmの比較的若い木も感染していた。桃が狙われ易いのは、幹の肌が荒く凸凹し、皮のめくれが生じている木が多く、クビアカの産卵に適していることも原因の一つと考えられる。
桃は幹肌が荒くクビアカの産卵。に適していることで被害を受けやすいと考えられる。
桃は剪定が多く、ベッコウタケ等の腐朽菌感染を受け易く、心材腐朽によりクビアカ幼虫の子育て環境が整っていることも、クビアカ被害を受けやすいことの原因となっている。
以上