ドングリ大凶作と穿入生存木の関係
公開日:2023年11月18日 最終更新日:2023年11月18日
環境省が今年11月1日に発表した速報値によると、2023年4~10月にクマに襲われたのは180人。統計開始以来、最多を記録した。このうち死亡者数は5人に上る。
と発表しました。
クマによる人身被害が過去最多のペースで推移しています。なぜクマは人里に近い場所に出没し、人を襲うようになったのでしょうか。
新聞の報道では、「クマのエサになるドングリ(ブナ科の実)の大凶作が影響している」などと説明していますが、私は、その大凶作原因を調査してみました。
大凶作は「ナラ枯れ」とその関係する「カシナガ穿入生存木」が関係しているのではないか?。との疑問から調査をしてみた。
調査結果、穿入生存木の多くにドングリの実が確認できないことが分かりました。
推定ですが、穿入生存木は林全体の90%以上を占め、健康でドングリが生る木は10%前後しか無く、森の殆どがドングリを生らす力がない病気状態になっている為と思われる。
下記写真 根上で危険な為に伐採したシラカシとコナラ、何れも穿入生存木ですで、カシナガとナラ菌は共生関係にあり、 加害された樹幹内に、このナラ菌が広がると辺材部にある通水管が破壊される。
辺材部通水管破壊程度により、枝葉への栄養分の供給が減少し、ドングリが生らなくなる。
写真は、穿入生存木を伐採蓄積したものですが、殆どの木の辺材が茶色く変色している事が分かる。
通水管がナラ菌により破壊されているのだ。この様に、穿入生存木の多くが辺材破壊された結果、いわゆる病気状態となりドングリの実を実らせることが出来なくなっていることが分かった(ナラ枯れ木には至っていない)。
通水管の破壊が進行すると、完全に通水機能が失われてしまい、ナラ枯れ枯死木となる。
ナラ枯れが数年前から発生している林・森の多くは穿入生存木と推定できる(調査では健全と思われる木は10本中1本だけで、残り9本は枯れてはいないが、ドングリの実が生らない、又は非常に少ない穿入生存木であった)。
シラカシ健全木は毎年沢山の実を実らせている(下記写真 健全木)。
(池に落下した沢山のドングリ、神井戸湧水で撮影)
今年マスアタックを受け、撃退した穿入生存木は全く実を実らせていない(下記写真)。
3年前にマスアタックを受け撃退したコナラも全く実が落ちていない(下記写真)。
この様に、森の90%がドングリが生らない、又は少ない穿入生存木(ナラ菌に感染した病気の木)であり、当然熊の餌は大凶作となっていることは間違いない。
苗木のタネ、ドングリが無いと言うことは、ここ数十年は大凶作が続き、熊個体数が減らない限り、人里へのクマの被害は続くと推定される。
昨年穿入を受けたクヌギ、穿入生存木も全く実をつけていない。
健全木クヌギの木、多くのドングリが落ちている(下記写真)。
コナラ健全木、沢山のドングリが落ちていた(下記写真)
沢山のドングリが落ちていた健全木のコナラ。
以上