タイトル:棚田と長野盆地の夕景
撮影場所:篠ノ井線姨捨駅 棚田
撮影データ:ISO 2000, F10, SS 0.62秒, 焦点距離 52mm, 露出補正 0, ハーフフィルター使用
ひと言:この地は鉄道、写真愛好家皆さんの有名スポットです。私も、愛好家の仲間になってきました。到着時の天候は、雲の流れが速く安定したものでなく心配しましたが、雨天にないことが幸いして、長野盆地の視界は夕刻になっても持続してくれました。ありがとう!
講師コメント:長野盆地の景観が、夕刻独特の青紫の色調を呈し、暖色系の色味の残る空と対比し美しさを感じさせます。街には灯りが入り華やかさを創り出しています。ちょうど良い時間帯を収めることができました。景観には奥行きがあり、風景写真として大変見がいのある作品に仕上がっています。 |
タイトル:夏休み
撮影場所:埼玉県 ときがわ町
撮影データ:ISO 3200, F3.6, SS 1/500, 焦点距離29mm, 露出補正 0, 7枚のコンポジット撮影
ひと言:渓流で夏休みの中学生たちが楽しそうに川に飛び込んでいました。連写した7枚を1枚に合成してスローモーション写真にしてみました。
講師コメント:川に飛び込む姿がコマ撮り方式で表現されています。この技法もコンポジット撮影です。(コンポジット撮影については、題名 夜空のファンタジアを参照してください。)夏休みに自然環境の中でちょっと冒険を体験しながらの飛び込み遊び、子供のころ体験した方も多いのではないでしょうか。懐かしい気持ちになりました。 |
タイトル:星空のファンタジア
撮影場所:座間市四ッ谷
撮影データ:ISO 100, F5.0, SS 30秒, 焦点距離 14mm, 露出補正 -3
ひと言:星の光跡と街の夜景を撮るのは私の夢です。今回は、座間の田んぼを前景に、夜の座間の街並みを見下ろす北の星々をコンポジット撮影に挑戦しました。
講師コメント:北極星を中心として夜空の星の軌跡を掴んだものです。ひとコマは30秒露光で撮影していますが、現在のデジタルカメラでは数多くの撮影コマを重ねて一枚の作品を作り上げることができます。しかし撮影時の条件では夜空の露光と街並みの露光を合わせることは大変難しいと思われますが、(本人の説明による。)作者はアプリケーション作業でコンポジット撮影を見事に調整しきっています。富士山と星の軌跡などはよく目にしますが、わが街(新田宿)を取り込んでの作品は珍しく、また、かなりインパクトのある仕上がりとなっています。 |
タイトル:夏の訪れ
撮影場所:あきる野市
撮影データ:ISO 100, F13, SS 5秒, 焦点距離 81mm, 露出補正 0
ひと言:梅雨も明け午後から撮影に出かけてみた。4~5年前から気になっているねむの木で、残念な事に盛りは過ぎていた。日没まで粘って撮った一枚です。また来年挑戦する楽しみがふえました。
講師コメント:ロングシャッターでの撮影なので川面は優しく捉えられていています。全体の色調も深みがあり好感が持てます。そこで主題はどこかと考えるとやはり画面前景のねむの木とせざるを得ませんので、合焦点をグッと手前に持ってきて、ねむの木の花に合わせてみてはどうでしょうか。そうなると伝える事柄もしっかりとして、見た瞬間のインパクトも高まり作品評価は随分変わるのではないでしょうか。 |
タイトル:としつき
撮影場所:長野 白馬
撮影データ:ISO 200, F9.0, SS 1/250, 焦点距離 20.5mm, 露出補正 1
ひと言:23年前(1998年)の冬季オリンピックの男子団体ジャンプ競技を、私はテレビで観戦していました。メダルの獲得の瞬間をテレビが何回も放映を繰り返すので今でもその映像が脳裏に浮かびます。この一本の木がそんな年月の経過を思い起こしてくれました。ジャンプ台等もハッキリ映るように絞り9にして、手振れを防止したくISOを100から200にしシャッタースピードを上げました。ジャンプ台そのものは手入れがしてあり年月の経過は感じませんが、この木がそれを感じさせてくれました。
講師コメント:今はまさしく2020東京オリンピックの開催期間中です。そんな中、撮影者は1998年長野冬季オリンピックの思い出画像を投稿してくれました。ジャンプ競技では舟木・原田選手が活躍したことが思い出されます。一枚の写真がある人の人生で大切なものであったり、見るたびに元気付けられたり、失った時間を思い出させてくれたりするのも「写真の力」なのです。投稿の一枚を改めて認識する機会にしたいものです。 |
タイトル:カンナ
撮影場所:座間市 小池遊水地
撮影データ:ISO 400, F4.5, SS 1/800, 焦点距離 24mm, 露出補正 -0.3
ひと言:真夏の暑い盛りに咲く「カンナ」の花です。以前はどこの家庭の庭でも咲き、ホウセンカや白粉花と共に馴染みの深い花でしたが、最近はあまり多く見かけません。真っ赤に咲いた花。力強く暑さに負けない夏の花です。
講師コメント:「あ~ いいですね。」作品に目を通した際の第一声です。主張がしっかりと創り上げられたものは見た瞬間に伝わってくるものがあります。色味・明暗・誇張感・ボケ効果・フレーミングなど様々な要素が一体となり見る者のレセプター(受容体)に飛び込んでくるのです。一つひとつの要素を分析するまでもなくそれは瞬時に作用するのです。作品からは街の様子・自然環境・人物の生活感などがリアルに感じ取れる秀作です。 |
タイトル:復興街道
撮影場所:福島県 浪江町津島地区
撮影データ:ISO 400, F11, SS 1/750, 焦点距離 135mm, 露出補正 0
ひと言:津島地区は2011年3月12日(大震災の翌日)の朝、原発が異常有りということで、浪江町民全員が避難した場所ですが、皮肉にもこの場所が放射能汚染の最も高い場所になってしまい、家に戻ることもできず、着の身着のまま放浪の生活になった出発点です。あれから10年、今も除染作業で出た汚染土を中間貯蔵施設へ運ぶダンプカーの列が続いていました。
講師コメント:発災から10年が経過しても除染作業が終わらない原発事故の現状を示しています。放射能と言う短い時間では減衰しない物質の恐ろしさをしっかりと伝えきることが作者の思いと受け止めます。自然界を改造したり、科学の世界を制御できると思うごう慢な人間行動の結果に招いた悲劇と言うことになります。人間がしてしまったことを、人間はどこまで修正できるのか作者の問なのです。 |
タイトル:晴天をつく
撮影場所:シュムリアップ カンボジア
撮影データ:ISO 800, F5.6, SS 1/1600, 焦点距離 不明, 露出補正 0.7
ひと言:2018年の撮影です。コロナ禍で出歩きたくないので、過去の作品ですが、スカッとしたいと選びました。タイトルはドラマのパクリです。遺跡の守神のように置かれているこの像、日本の狛犬に似ていますが堂々としていて好きです。暗い場所から出た直後でISO感度を調整するのを忘れて撮ってしまったのでシャッター速度がとんでも無いことになっています。
講師コメント:撮影者の表現を借りると、カンボジア版の狛犬と言ったところなのでしょうか。アンコールワットやアンコールトムなどの遺跡で有名な都市です。晴天をついているのも確かなところですね。大きく空を入れてスペースが確保されていますので、この種のレイアウトはポスターを制作する際最適なのです。上部の空間に文字入れをするとピッタリ収まります。先々カンボジア旅行記写真展を開催する折にはぜひ使用してみてはいかがでしょうか。 |
タイトル:時空をこえて
撮影場所:産川せせらぎ公園(海老名市)
撮影データ:ISO 5000, F16, SS 1/100, 焦点距離 55mm, 露出補正 0
ひと言:産川の由来は、義経の妻の護王姫が平泉に落ちのびた義経を追っていた際に産川で産気づいたので、この地名がついたそうです。この小さな湧水のところに絶滅危惧種のコウホネの花が咲いていた。地名の由来とこの花とを組み合わせて思いが撮れないかと思って、水の流れをF16に絞って撮りました。SSをもっと遅くすると花がぶれてしまうかなと思ってこのくらいにしました。
講師コメント:水面にキラキラした光が反射し清らかさが表れています。おおよその水深が見て取れ、水量(ボリューム)も推察できます。対象を傾斜させたことも画面に変化を持たせ、フラットな表現から脱却することに成功しています。露出も適正に仕上がり結構です。なお、SS 1/100とのことですが、これ以上遅くせずに良かったですね。 |
タイトル:梅雨の朝「アベリア」に想う
撮影場所:かにが沢公園
撮影データ:ISO 200, F5.0, SS 1/1000, 焦点距離 62mm, 露出補正 0
ひと言:梅雨明けを待つひと時です。しとしとと滴る鬱陶しい小雨の朝、公園の街路樹「アベリア」がひと際、白く輝き冴えていました。花言葉は「強運」、長期に渡り花を咲かせ力強く通りを彩る。コロナ禍で閉塞する心情を梅雨明けと合わせて解放できればと願う。お陰様で2回目のワクチン接種を終えました。もう暫らくの辛抱です。
講師コメント:梅雨の時期を象徴するひとコマを投稿いただきました。主題の花もしっとりとした様子で咲き切った姿を主張しています。画面の雰囲気に合った選択と思われます。背景のボケも良く花をひきたてています。ただひとつもったいないのは、主題の花と第二主題の背景人物が左右に二分されてしまっていることです。一例として、アイレベルを下げ右にシフトして枝の懐に人物を配するなど、レイアウトを一考されると更に完成度が上がることでしょう。 |
タイトル:気をつけて
撮影場所:座間市入谷
撮影データ:ISO 3200, F8, SS 1/110, 焦点距離15㎜, 露出補正-0.7
ひと言:星の谷観音に近い踏切に、お地蔵様が祀ってあります。過去に踏切事故があったのでしょうか。お地蔵様を主役にする構図に苦心しました。横位置でもたくさん撮ったのですが、小田急線に負けるので縦位置にしました。また、お天気のいい日は情緒がなく、雨の日に撮り直しました。ほかに、いい撮り方がありますか?
講師コメント:撮影者がひと言で説明のとおり、過去に踏切事故があったのかもしれませんね。安全を祈ってのお地蔵様でしょうか。そんなつもりで見てみますと、もっと近づいて主題を引き寄ることができれば、安全を願うより強い主張ができたと思います。そして、背後の電車の写し込みが弱いので、電車の先頭や最後尾部分を捉えると印象を高めることができるでしょう。
(下記の【注1】を参照) |
タイトル:大変なんだネ 菅ちゃんも!
撮影場所:小田急相模原 病院通り
撮影データ:ISO 200, F8.0, SS 1/100, 焦点距離 25mm, 露出補正 -0.3
ひと言:おふざけ写真で申し訳ありません。自分ではブラックユーモアというか、ブラックジョークのつもりなのですが、店の看板と入口の貼り紙を見た瞬間に「大変なんだネ 菅ちゃんも!」と思ってしまいました。看板と入口が離れており、真ん中の植木で主役が左右に分離されてしまったのですが、右に廻って看板越しに撮ったカットよりも、ガスボンベや空き瓶が見えるこの方が何となく場末感を感じます。写真でこうしたジョーク(?)は有りなのでしょうか。また主役の左右分離はどう考えれば良いのでしょうか。
講師コメント:撮影者の作品、これまではコロナにジワリと切り込んだ表現でしたが、今回は方向の異なる社会風刺として受け止めました。入口の引き戸に貼ったチラシから屋号菅ちゃんのコロナへの苦労が感じられますが、それだけではなく国民の生命と安全を守ると断言する政府への蜂の一刺しと言うことになります。これもまた写真表現の一つです。チラシと看板が離れ中割れなっていますが、だからこそなぜこのフレーミングかと考えたとき、別の菅ちゃんが浮かび繋がりを感じました。以上の寸評をもって作者の質問への答えとしますのでご理解ください。 |
【注1】講師コメントの続き
上段:作者の原画
下段:講師による修正画
写真の上下を見比べてください
講師コメント:事後になりますとトリミングと言う方法になってしまいますが、参考のために添付しましたので、比較してみてください。 |
#1:タイトル「気をつけて」の作者です。どうしたら、このお地蔵さんを目立たせ、かつ小田急線が脇を走っていることもしっかり伝えられるか、悩んでいた写真だったのですが、先生のトリミングを拝見した感じでは、もっとお地蔵さんに寄って撮ること、電車の先頭か最後尾部が入るタイミングでシャッターを切ることなど、撮り直しの貴重なアドバイスをいただけました。再度チャレンジしてみます。
#2:ネット例会に12名参加は今年度はじめてですね。コロナの収束がまだ見えてこないなか、ネット例会がなんとか先生と会員同士をつないでくれていると思っています。ひと月に一人1点だけですが、その1点に、おひとりおひとりの凝縮した思いが表れているように見えます。参加者は多いほうがネット例会に活気が出るし、会員の皆さまもお元気なんだなと安心します。
|
#3:今回は上段3点の作品に、いきなりガツーンとやられました。長野盆地の夕景の中を流れるのは千曲川ですね。この風景を実際に見てみたいです! 次の2点は何々? コンポジット? それはなんぞや? インターネットで調べました。お二人の作品の面白さに、私もやってみたいと思いましたが、はたして私のカメラでできるものやら。
#4:タイトル「としつき」の写真を見て、大事な思い出が甦りました。両親が孫(私の息子)を連れて、このオリンピックを見に現地入りしていました。有ったはずだと探し出したのが、オリンピック土産のマグカップ。マグカップを手にしながら「としつき」写真を眺めたら、まだまだ元気だった両親の姿を思い出しました。4年に1度のオリンピックは、思い出の一里塚でもあるのですね。 |
#5:タイトル「夏休み」と「星空のファンタジア」、お二人のコンポジット撮影。コンポジットの意味も良くわからなかった。私のカメラにはその機能が有りませんが、7枚位撮ってカメラ内で合わせる・・露光がとても難しいのではと思いました。とても高度でいい写真ですね。
#6:タイトル「大変なんだネ 菅ちゃんも!」最初入口の張り紙と菅ちゃんの看板が離れすぎていると思ったのですが、先生の講評を読ませてもらって、社会風刺としてこの写真を見ると、この中割れの部分に意味があるなと思いました。
|
#7:タイトル「夏の訪れ」川面のゆったりとした流れとねむの木の色の取り合わせ、とても心穏やかになり、癒される写真でした。先生の講評の様に撮った写真も、又見せてください。
#8:タイトル「復興街道」は、胸が痛くなる写真だと感じました。同じトラックのコンボイでも、建設現場に向かうものとは違い、環境省のマークを付けてマイナスからの立て直しに汗するトラック集団。一番良い結果が得られても±0に戻るだけ。おそらくは、そこまで戻ることは望み薄なのでしょうね。そんな現実を突き付けられた写真です。 |
#9:強引に開催された東京五輪。始まってみると、卓球に柔道に水泳にと、懸命に闘う選手たちを応援し楽しみながらテレビ観戦している私がいます。でも作品「復興街道」を見たとき、復興五輪としてスタートしたオリンピックだったことを思い起こし、現実とのギャップに胸が痛みました。五輪放映は、コロナ感染で閉塞感を抱いていた人たちをひとときハイな気分にする効果はあると思いますが、置き去りにしてはいけない日常を覆い隠す危険性もあることを肝に銘じました。
このタイミングで「復興街道」の写真を見せていただいてよかったです。 |
#10:8月4日の朝日新聞朝刊に体操の橋本大輝選手の着地が14枚合成写真で掲載されていました。これ、コンポジットですね。#2さんの7枚写真合成と同じ手法かな。でも、#3さんの星の軌跡の写真も同様の手法でしょうか? 先生の解説のアプリケーション作業の意味がわからないので、同じコンポジットでも方法が違うのかなと思いました。 |
#11:to the #3 & #5, 「星空のファンタジー」の撮影者です。ありがとうございます。コンポジット撮影はどんなカメラでも撮れると思います。この写真は30秒露出をインターバル1秒で連続して207枚撮影し、それらの写真を別途Photoshopで合成したものです。星が動くので207枚の写真を合わせると、点として写った星が線につながって見えるようになります。ぜひ、撮ってみてください。
星の場合は撮影が長時間におよぶので、シャッターを押したら車の中で休んでいても大丈夫です。ただし、カメラやリモコンで事前に露出時間、撮影枚数、撮影インターバルなどを適切に設定する必要があります。 |