人々の生活を脅かすナラ枯を防げ
詳細
座間市は相模川、目久尻川、鳩川の浸食によりできた急傾斜地が多く、この急傾斜地の土砂崩れを防いでいるのがナラの木であると言っても過言ではない。
カシナガの集中攻撃を受けた木は、葉がしおれて垂れ下がり、さらには赤褐色に変色します。これはナラ菌の作用によって道管での樹液の流が停止し、「水切れ」を起こすからです。
左写真の大量のフラスは、カシナガが穿入するときに木に孔を掘ったとき発生する木くずとカシナガの糞が混ざったもので、この粉の匂いに誘きよされカシナガが更に集中して穿孔したことでフラスが増え 多くのカシナガが集中攻撃(マスアタック)を受けたナラの木は、幹内にナラ菌(ラファエレア菌)が繁殖し、通水機能を失ってしまうことで「ナラ枯れ」被害に至ります。
なら枯を防ぐにはカシナガのマスアタック前に(フラスが少ないうちに)対策を行う必要があります。
特に人々の生活圏である人家の脇、土砂災害危険区域、道路脇等は優先して早期発見、早期治療に努めるべきである。
該当樹木の崖下には家屋があり、この木が枯れたらがけ崩れの危険が。
この木のナラ枯は絶対防がなければならない。
本件区域は土砂災危険区域です。
カシナガの集中攻撃(マスアタック)を受け急激に枯れ始めたコナラの木(左の木)
(7月中旬に撮影)
この木が8月31日現在、次の治療で生き延びています。
急遽ナラ枯対策実施
スミチオン2回噴霧後カシナガブロック噴霧。
スミチオン(農薬)でカシナガを駆除後に新たな防止の為にカシナガブロック(粘着剤)を2回噴霧した(7月29日~8月1日)。
カシナガブロックは神奈川県から民間ナラ枯対策として支給頂いたものです。
この民有林だけで4本のナラ枯対策を実施致しました。
昨年、令和2年は本林で4本対策実施し、ナラ枯を防ぐことができました。
ナラ枯対策噴霧完了
ナラ枯対策噴霧後の長雨、豪雨の影響で折角施工したカシナガブロックが雨に溶けて流れ落ちてしまったため対策効果が減少した。
(カシナガブロックの欠点であることが分かり、製造元のアース製薬に改善をお願いした。)
カシナガブロックが雨で溶けて流れた為にナラ枯進行が止まらない。
8月10日、今年最高気温
36.4°C(台風によるフェーン現象)により青葉が縮れて雨のように降ってきた。
原因はカシナガが幹内に植え付けた菌により木の通水機能が減少した為ですが更に外気温の高さ、強い日差し、日照りによる土壌水分の減少等により、木が耐えられなくなった為です。
絶体絶命の状況となりました。
緊急対策処置として、ツマヨウジ先端にスミチオン原液を浸してカシナガ 穿孔孔に挿入してカシナガ駆除計画をはかる。
ツマヨウジ先端にスミチオン原液に浸したものをカシナガ穿孔孔に差し込み、幹表面から約5㎜程度で切断した。
表面から5㎜に切断したツマヨウジをハンマーで打ち込む。
これでカシナガのフラス排出が無くなれば、カシナガは駆除されたと判断できる。
根気よくツマヨウジ対策を繰り返し、フラス排出が0になるまで対策を行う。
合計200本以上のツマヨウジを用いた。
ナラ枯はナラ菌による通水機能低下により発生することから念のため水撒きも行う。
8月10日~31日迄21日間も30°C以上の酷暑が続いた為、水撒ききをしなかったら枯れてしまったと予想する。
数々の対策により、元気になりつつあるコナラ
何とか枯れないで済みそうです。
8月30日撮影
しかし、カシナガは10月頃迄活動するので油断できない。
今後の課題
カシナガは樹の根元にマスアタックするが、今回のように根元を対策するとその上にアタック位置を変える。現在はまだ大きな影響はないが今後心配である。
早期発見早期治療が大事
カシナガは辺材に菌を植え付け増殖させる。
フラスが少ないうちに対策すれば確実にナラ枯れは防げます。
ミズナラ・コナラは注意が必要
カシナガはミズナラ、コナラを好むので、これらのナラ木にフラスが確認されれば重症化が早い。
特にミズナラ、コナラの老木は早期発見、早期治療が必要です。
昆虫の集まる木はナラ枯が起きにくい
生立木穿入孔から樹液の流出多いとその樹液を求めて昆虫が集まる。
樹液が多くでる木はカシナガの孔が水没しカシナガの幼虫が育たないためカシナガの繁殖阻害要因 となると言われている。
穿入孔からの樹液流出の有無ととナラ枯は大きく関連していると思われる。
この情報は、「座間安全・安心推進会」により登録されました。