クビアカツヤカミキリの被害拡大防止に成功
多くの人を魅了する桜(写真は宇宙桜)。 春になると仲間と集まって楽しくお花見をする人も多いのではないでしょうか。
ところが、その桜が各地で次々に枯れて伐採される事態が起きています。枯れた原因は外来種「クビアカツヤカミキリ」の樹内食害によるものです。
群馬、埼玉等の被害地では花見も出来なくなっている地域もあり、「日本の花」桜の被害拡大を防がなければなりません。
樹内に潜むクビアカツヤカミキリの幼虫駆除に成功
座間安全・安心推進会では薬剤浸透木栓を用いて樹内に潜むクビアカツヤカミキリの幼虫を駆除する方策を考案し、31本の樹木で駆除できた事を確認致しました。
下記写真は多摩地区の被害木
撮影日 令和6年7月21日(31本の内の1本) クビアカツヤカミキリ特有カリントウ状のフラスが大量に堆積していた。
当日、対策として薬剤浸透木栓をフラス排出孔に打ち込んだ。
上記被害木の対策 撮影日 令和6年7月29日
〇印がスミパインを浸透した木栓挿入個所(2ヶ所)木栓打ち込みから8日後の確認で、全くフラスが出ていない。
幼虫はフラスを排出する為に木栓先端を噛み砕き、取り除こうとして浸透薬剤で死んだと思われる。
下記写真はスミパインを浸透させた木栓。先端を見ると幼虫が噛んだと思われる痕が確認される。
スミパインはクビアカツヤカミキリ駆除指定薬剤で、ナラ枯れカシナガ等に用いた残り液剤を用いた。
スミパインは木材に対する浸透性が高く、樹被に噴霧する事で、樹皮奥深く浸透し、クビアカの卵及び幼虫を駆除できる。
今回は、木栓への浸透力を期待してスミパインを用いたが、スミチオン等でも効果を確認している。
木栓を用いた対策は誰にも容易に確実に実施できる(一か所数分) (下記は木栓挿入後フラス除去前の写真)
東京多摩地区の被害調査
写真は、東京あきる野市の河川敷桜並木でクビアカツヤカミキリの被害を受け枯れた桜。
桜並木で80%以上が、既にクビアカツヤカミキリの被害を受けており、来年の花見は絶望的と思える。
クビアカ被害で次々と伐採される桜(昭島市)
東京都のクビアカツヤカミキリ対策
東京都が示し、市民が対策出来るのは幼虫・成虫の刺殺及び捕殺とスプレー注入であるが、樹内に潜む幼虫を駆除すことは容易ではない。
又、夜行性のクビアカツヤカミキリ成虫を昼に見つけ駆除することも限られた数しか駆除できない為に効果が限られる。
上記東京都指示によるネット巻もその効果なく、成虫が網を食い破り飛び出している(多摩地区)。
スカート状に設置したとしても管理が悪いとかえって被害が増える)。
成虫が網内で交尾し卵を産み付け、爆発的に増えた樹内幼虫によるフラスと思われる。
クビアカツヤカミキリの卵と幼虫(公園管理者と合同調査)
地際樹内に潜んでいた幼虫(八王子みなみ野)
クビアカツヤカミキリ被害初期は地際又は樹下部に卵を生むことで、地際又は樹下部からフラスが出る。早期発見、早期対策を行うには幹回りの植え込みを伐採管理し、フラスが確認できる幹回り、地際の確認ができる状態を保つ必要がある(写真は相模原市役所桜並木)この並木は深い植え込みが障害となり、フラス確認が困難だった。この場所は老木が多い為に、管理が悪いとまたたく間に被害が広がるので心配である。
管理者は予防策として、フラス点検が容易にできるよう改善すべきである。
まとめ
クビアカツヤカミキリの予防対策は市民の協力を得て、フラス情報をより早く、より確実に連絡頂ける体制にすべきである。
又、拡大を抑制し、新たな被害地を出さないことが重要だが、そのためには既存の被害地での対応だけでなく、周辺の未被害地においても積極的な対策や、被害地と未被害地間の情報共有も重要と考える。
また、モニタリングや駆除活動は自治体の対応では限りがあるので、地域の関係者との連携の中で実施することが重要と考える。
しかし、現状はこの基本的な体制ができていない。
実際に各市とも管理者として責任ある感染予防対策を確実に実施しているところは無かった。
唯一の実施対策は枯死木を含めて伐採のみで、市民からのフラス、成虫情報も生かされていない。
又、市民にも周知されておらず、このままでは被害拡大は止められないと感じた。
唯一、確実にクビアカツヤカミキリ幼虫を駆除出来るのは「薬剤浸透木栓」を利用した対策で、安価で簡単に、だれでも実施できるので、これを用いる事で被害拡大防止に繋げていきたい。
以上
この情報は、「座間安全・安心推進会」により登録されました。