ご神木「椎」ナラ枯対策により枯死を防ぐことができました
ご神木(椎の木)ナラ菌感染対策実施経過
某神社のご神木がナラ菌に感染し、樹周囲にカシナガ(カシノナガキクイムシ)が群がっていることを確認した(2022年6月26日)。
ご神木の根本にはカシナガのフラス(木くず)が大量に堆積していた(下写真)。
左写真は雄のカシナガが排出したフラスでスミパイン(薬剤)噴霧により駆除された事が確認できる(6月26日)。
フラスとカシナガの量からみて、ご神木は既に重症状態の為に、緊急対策を実施したとしてもナラ枯を防ぐことは難しい状態だった。
対策を実施して頂けると思われる関係会社と連絡を取ったが、実施して頂ける会社は無く、やむを得ず、座間安全・安心推進会考案の防虫剤による燻蒸システムで対策を実施することとなった(対策日7月13日)。
下記グラフは5本のカシナガトラップに確保さらたカシナガを一週間毎に数えた数頭である。5月23日に初めて捕えた第1号カシナガは雄だった。
その後6月に入ると急激に増え、7月初めにピークとなる事が分かった(座間市の場合)。
今年初めてのナラ枯(枯死)が確認出来た日にちは6月25日である。
左記グラフで見ると、5月中旬迄に樹周りにストレッチフィルムを巻けば(立木ビニール被覆)カシナガの 穿孔を防げるが、飛翔数が急激に増える6月初頭の対策では枯死期間範囲を見てもナラ枯を防ぐことは難しくなることが分かる。
神社殿からの依頼で、ご神木対策を実施した日にちが遅く、ナラ枯を防止出来るのは50%の確率と厳しい状況だった。この厳しさもあるのか、ご神木を対策して頂ける業者さんは見つからなかった。この為にやむを得ず座間安心推進会考案の防虫剤による燻蒸システムで対策を実施する(案)で神社殿に相談した(対策日7月10日)。
ご神木は既にカシナガによるマスアタック(集中攻撃)を受けて多量のカシナガが 穿孔 していることもあり、防虫燻蒸システムを採用する事となった。燻蒸システムは防虫剤による燻蒸ガスを生成し、樹内奥深く迄ガスを送り込ことで内部に潜むカシナガを駆除するシステムである。
左記写真は防虫剤を幹回りに固定して、その上にストレッチフィルムを巻き付け、内部に燻蒸ガスを充満させることでカシナガを駆除する方法である(座間安全・安心推進会考案)。
しかし、対策時点で既に元気がないご神木であることが左記写真の葉の色でも分かる 更に、緑の葉や茶色の葉がバラバラと落ち葉となって降り注ぐ状態に迄悪化していた。(樹内の水を吸い上げる道管がナラ菌酵母で破壊され樹液の流れが悪くなる為元気が無くなる。道管が完全に閉塞すると枯死する)。
対策時点で既に最上部の枝は枯れが進行していた。
対策実施とともに、毎日のように水を大量に散布することで水の吸い上げを助けたこともあり、対策日から2.5ヵ月経過後神木は元気を取り戻した(写真10月16日)。
下記写真は、ご神木に巻いたシートの中で燻蒸により駆除されたカシナガ、
防虫剤による燻蒸システムで、ご神木のナラ枯は何とか防止できたが、反省点が数多くあった。特に重要なことは、カシナガのマスアタック行為の前にストレッチフィルㇺによる「立木ビニール被覆」を施工すれば、安価に、又確実にナラ枯を防ぐことができた。
以上
この情報は、「座間安全・安心推進会」により登録されました。